2014年3月27日木曜日

CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4は官能レンズの女王

OM-D E-M10, CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4, 1/2500, F1.4, ISO200

CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4


ロックの帝王。サスペンスドラマの帝王。ミナミの帝王。世にはいろんな帝王がいますが,このレンズは「標準レンズの帝王」と呼ばれているそうです。すごいですね。別珍のガウンを着て,ワイングラスを持ってそう(笑)

僕がこのレンズを買ったのは20年前。長く眠らせたままになっていましたが,カビもなく,状態が良かったので,マウントアダプターでE-M10に装着しました。その作例をアップします。

ただ,マイクロフォーサーズなので,レンズ中央部しか使っていません。また,画角は換算100mm相当になります。ご承知おきを。

OM-D E-M10, CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4, 1/400, F1.4, ISO200
開放は甘〜い。しかし,被写体のイメージに合わせて甘く撮るなら,とても柔らかで優しい雰囲気になるのです。

OM-D E-M10, CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4, 1/4000, F1.4, ISO125
こちらも開放。ソフトフォーカスのような「ふわっ」とした甘さではなく,「ぼやっ」とした濁りがある甘さ。まるでお酒で少し酔ったときみたい。これはこれで,不思議な味わいがあります。

OM-D E-M10, CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4, 1/1250, F4, ISO200
F4まで絞ると,ビシッとシャープに。毛の一本一本がハッキリ見えます。上の写真と見比べるとすごいギャップですが,ここまで劇的に変化してくれた方が,絞りを選びやすかったりします。

OM-D E-M10, CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4, 1/250, F2.8, ISO200
F2.8まで絞ってやると甘さは消えて,クリアな写真になります。シャープさとボケ具合がちょうど良いバランス。玉ボケは丸くならず,角ばってしまうのが惜しいですね。

OM-D E-M10, CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4, 1/1000, F4, ISO200
昔,初めてカールツァイスレンズの写真を見たとき,こってりとした濃厚な赤の発色に衝撃を受けました。鮮やかなだけではなく,深みがある赤だったのです。こんな写り方をするレンズって,当時はカールツァイスだけでした。今でも赤い被写体は,格好の餌食。エンブレムのところに,パープルフリンジが出ちゃってますね。


官能レンズの女王


久しぶりに使ってみて,やっぱり素晴らしいレンズだった! 

まず,道具としての手触りが,うっとりするほどキモチイイ。手に伝わってくるほどよい重さ。ひんやりとする金属の鏡筒。ラバー製で細かく刻まれたローレット。上品にしっとりと回転するピントリング。絞りリングを回したときのクリック感。ここまで手触りが良いレンズは,現代でもそうそうありません。

絞りによって描写を一変させるのも,このレンズならではの愉しさでしょう。開放ではボヤっと甘く,絞っていくとクリアでシャープな写りになります。

さらに,開放の甘さは,光の明るさによって味わいが変わります。ハイキー調だと白昼夢のような不思議さが生まれ,ローキー調では東欧的な陰影になるのです。

このような官能性を持つレンズを「標準レンズの帝王」と呼ぶのは,ちょっと説明臭くて色気がないですね。

プラナーの魅力はなんとなく女性的だから「官能レンズの女王」とお呼びしたい。それに,帝王なんかを連れて歩くより,女王をお連れしている方が気分良いでしょ?

【関連】CONTAX Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 作例パート2